☆NY通信

NY通信、最新号が届きました。

BEIGO Watch [279] DEI Hire   米語 Watch [279] : DEI Hire

各位、  バイデン大統領が大統領選から撤退し、ハリス氏に後を託しました。それを受けて民主党は大いに盛り上がっています。そのエネルギーは、暗殺を免れて勢いづいた共和党トランプ氏を凌ぐものと見えます。11月の選挙まで100日を切りました。目が離せない状況が続きそうです。  (ニューヨーク近郊の皆さまへ)拙著「米語ウォッチ・アメリカの『今』を読み解くキーワード131」が、ニューヨーク紀伊國屋でも販売が始まりました。皆さまのご支援に心から御礼申し上げます。今週の「米語Watch」をお送りします。読んでいただいて嬉しく思います。いつでも、楽しいメッセージをお寄せください。直接、ご返信ください。 米語Watch(朝日新聞、Asahi Weekly、週刊NY生活紙に連載中)-

“ DEI Hire “多様性” 採用

カマラ・ハリス 副大統領がバイデン氏の後を継いで民主党の大統領候補となることが、事実上決定しました。 この事態に、共和党のトランプ陣営は、彼女に対する執拗な個人攻撃(Name-calling)を始めました。まず使った言葉が、DEI Hire (”多様性”採用)です。DEI (Diversity, Equity and Inclusion: 多様性、公平性、包括性)は様々な個性を尊重することを意味します。つまり、DEI Hireと呼ぶことでハリス氏が実力ではなく、女性で人種少数派であるゆえに大統領候補になったと、彼女をおとしめているのです。  加えて、トランプ氏が選んだバンス副大統領候補は、ハリス氏をChildless Cat Lady(子なしの猫好き女性)と呼んで、彼女に実子がいないことを、問題視しました。(その結果、これには多くの女性からの反発を浴びています。)共和党は、政治的には彼女をCrazy Radical (きちがい急進派)、California Liberal(カリフォルニア的過激進歩派)などと呼び、極端な左派・進歩派であることを印象づけようとしています。  それに対して、ハリス陣営はProsecutor(検察官) vs. Convicted Felon(有罪犯)という表現で、トランプ氏がニューヨークの裁判所において、選挙法違反で有罪評決を受けたことを最大の攻撃材料としています。彼女は副大統領になる前、カリフォルニア州司法長官として悪質な犯罪者たちを訴追した経験をもとに、「Trump’s Type(トランプ氏のようなタイプ)はよく知っている」と最大限の皮肉を発しました。そして、民主党陣営は、トランプとバンス両氏は揃ってJust Plain Weird(とにかく奇妙そのもの)と形容しています。  11月の大統領選までの間、両陣営からどのような個人攻撃そして反撃が出てくるのか・・・もしかすると(不毛な)政策論議以上に結果を左右するかも知れません。不思議な国です。 (例文)“DEI hire” is a disparaging term that refers to quotas or targets for hiring racial and ethnic minorities, women, and/or people with disabilities for positions of authority and/or power. (Forbes) (訳)DEI hireとは、人種的・民族的少数派、女性あるいは障害者を対象として、権限・権力のある地位に採用する割り当てまたは目標人数に言及する、侮蔑的な言葉です。 (旦 英夫 ニューヨーク州弁護士)