NY通信、最新号をお届けします!
米語 Watch [288] : Anti-bride Wedding
各位、 12月も半ばになって、ニューヨークは日に日に慌ただしさが増してきました。 そんな中、マンハッタンで健康保険会社CEOが手製のピストルによって殺害された事件が全米の注目を集めています。逮捕された容疑者が所持していた自筆のメモなどによると、アメリカの医療制度への不満が犯行の動機のようです。一部の市民の間では、この人物を擁護する声が上がり大きな論議に発展しています。都心での銃による許されるはずがない犯罪、そしてその背景にあるアメリカの医療保険制度の問題が、クリスマスのお祝い気分を湿らせているのは悲しい現実です。 今週の「米語Watch」をお送りします。読んでいただいて嬉しく思います。いつでも、楽しいメッセージをお寄せください。
米語Watch(朝日新聞、Asahi Weekly、週刊NY生活紙に連載中)-
Anti-bride Wedding 伝統に囚われない結婚式 アメリカの若い人の間で注目されている言葉がAnti-bride Wedding。Anti-brideは直訳すれば「反新婦」ですが、実は伝統的なbridal norm (結婚式の決まりごと)から距離を置いて、簡素で自分流の式を挙げることを意味します。伝統的な結婚式(Wedding)と披露宴(Reception)と言うと、美しい飾り付けのもと、新婦は白いドレス、新郎は黒い正装です。Bridal Consultantに相談し、場所の予約から始まり、祭祀者を含む式次第を決め、招待客のリストを作り、贅沢な食事のメニューと・・・長い準備期間が必要です。費用は招待客の数によるでしょうが、100人くらいを想定すれば、3万から4万ドル(450万から600万円)はかかると言われます。 Anti-bride Weddingでは、形式を気にせず、好みの服を着て、レストランや気楽な場所に家族や親しい友人だけを呼んで、大きな出費もなく行えます。 物価高が家計を直撃する中、Anti-bride Weddingが若い人の間で広がるのは自然な流れなのでしょう。 実際、アメリカにおいて結婚数が減少している現象が問題になっています。 20年前には1000人に8組くらいあった結婚が今では6組くらいです。結婚を促す社会的なプレッシャーが減る中、あらゆる形の同棲・共生形態が広がっています。その背景には、結婚式・披露宴そしてその後の夫婦の生活や子育てなどにかかる様々な経済的要因があるのは間違いありません。Anti-bride Weddingの広がりが、若者の結婚に対するためらいを、少しでも緩和することを期待する声も聞かれます。日本でも結婚式の簡素化が進んでいると聞きました。もしかしたら、これは世界的な傾向なのかもしれません。 (例文)Love is a celebration of individuality, and weddings are a perfect platform to embrace this mindset. If you want to break free from conventional norms and express your unique style, then an “anti-bride wedding” or “anti-wedding” is for you. (junebugweddings.com) (訳)愛とは個性を讃えることです。そして結婚式は愛に対するこの考え方を表現する最高の機会です。もしあなたが伝統的な決まり事から決別し、自分独自のスタイルを表現したいならば、「anti-bride wedding」 もしくは「anti-wedding」をお勧めします。 (旦 英夫 ニューヨーク州弁護士)